「手書きの予約メモ」

先日、知人から紹介してもらった葛飾区にある昔ながらの理髪店に写真を撮りに行きました。

お店の周りは住宅街に囲まれていて、地域のお客さんを大切に、
また地域の人にも愛されて続いてきたのだと感じれるお店でした。

こういう時間の経過を感じさせてくれる場所が、
昔、沖縄に住んでいた頃から大好きな僕は、この日の撮影がとても楽しみでした。

印象に強く残ったのは、予約のメモ。
今はデジタル社会という言葉さえもう古いのかもしれない中で、
この大きく書かれた次の予約のメモはとてもあたたかい気持ちになりました。

看板や椅子、道具、床や扉のいたる所に感じる、積み重ねられた時間。
そこに生きた人、ここで過ごしてきた人達の日々、
60年以上続くこの場所で起きた様々な出来事を想像しながら場所の空気を吸い込む。

僕は何を写せるだろう。

この写真が、この人達に取ってなにかの記憶になってほしいと
そんな願いを込めながら写真を撮ろうと思う。

この家の主人であるお父さんは、中学を卒業してから
ずっと理容師の仕事をしてきて、この道60年以上の大ベテランになります。

今は、娘さんに仕事の大半は任せているそうですが、
それでも今も店先に立ち続けて、昔からのお客さんを安心させてくれています。

お母さんは、物腰の柔らかいあたたかい声の方でした。
会話は無くとも、自然にお父さんを気遣う姿からベテラン夫婦の空気感を感じれて素敵でした。

お父さんはカラオケとゴルフが趣味で、人とお話しをするのがとても好きな方。
沖縄の万座岬のホテルに勤めている学生時代の親友の話しを何度も聞かせていただきました。笑

せっかくなので、散髪している姿を撮影させてもらいたくて息子さんにモデルをお願いしました。
もう50歳になる息子さん。子供の頃から、ずーと散髪はお父さん。

今、何を想いながら息子の髪を触っているんだろう。

目をつぶり感じる父の手に何を感じるのかな。

これ、あったかいクリームを塗られて、
その上にまたあったかいタオル被せてくれて、とても気持ちいいんですよね。
眠ってしまいそうになるくらい。まー、だいたい寝てたかな。

撮影の合間に、トコトコ足元を歩いてる愛犬のワンちゃん。
小さいけど看板犬の風格バッチリで、普段は結構吠えちゃうらしいんですけど、
今日は何故か全然吠えないらしくって、

同じ仲間と思われてるのかな。。

お店の前は大通りでもなく車2台がギリギリすれ違える程度の道。
この場所で長く散髪屋さんをするのは、地域の人に愛させていないとできないだろうなと思える。

どの家庭にもある歴史があると思う。
歴史というか、物語かな。

その物語をほんの少し残せるこの写真を撮るという仕事が好きです。

お父さん、お母さんに
また会いに行きたいです。

カメラマン 大野

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